書の表現にもいろいろなスタイルがある。
展覧会や美術館等で作品を見てもらう表現と、生活の中で書(筆文字)を身近なものとして感じてもらう表現とがあると思う。
現在私はその両方に関わっている。
美術館における書の作品を発表する場合、見た人がどのように思うかよりも、書いた人の研究発表の場にあるという側面が強い。
それに対し、筆文字を身近に感じてもらうものとして、書として書かれた看板などで目にするお店の店名やいろいろな商品の名前等はその文字を墨と表現した場合の雰囲気がいかに大切であるかだ。さらにその墨表現の中に魂があるかも大切な要素があると思う。
筆文字、つまり墨で表現した対象物に対してそれを見た人が温かさややさしさを感じ、又場合によっては厳しさや尊厳さを感じる、そういう意図がうまく一致し表現できれば、素晴らしい作品と言えるのだと思う。